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英語の先生の種類〜専攻内容編〜

前回は大学について取り上げましたが、次は英語教師が大学で何を学んできたか、という点についてお話ししたいと思います。英語に限らないのですが、数学でも社会でも理科でも、学問内容は多岐にわたります。同じように学校で教えている先生たちでも、専門として勉強してきた内容は驚くほど違っているものです。

実際には前回見た大学の種類によって多少決まってくる部分もあるのですが、英語教師の専攻はまずは次の3つに大分類されます。

 1. 英米文学

 2. 英語学

 3. 英語教育学

特に理系の人たちにとってはなじみのない分野だと思うので、簡単に内容を紹介したいと思います。まず最初に英米文学、これはイメージしやすいかもしれませんね。主にイギリス、アメリカの文学作品(詩や小説)を研究します。学年が進むにつれ、特定の作家や作品に対象を絞っていく学生が多いですね。私が学生の頃は、やたらとナサニエル・ホーソーンアメリカの作家)の研究が流行っていました(なぜだろう?)。

 次に英語学、これは言語学と言い換えてもいいのですが、言語学のうち対象を英語としたもの、という意味です。さらに4つの主な分野に分かれ、それぞれ Syntax(統語論=文法構造を扱う)、Semantics(意味論=文字通り)、Phonology(音韻論=発音・音声を扱う)、Pragmatics(語用論=文脈や背景を扱う)と呼ばれます。私が学生のころはこの順番が花形順でしたね。語用論専門の先生はいなかったように思います。4分野の専門家はそれぞれ固有のカラーというか、雰囲気があるような気がしますね。

 最後に英語教育学、これはイメージしやすいかもしれませんが、最近では「第二言語習得理論」や「TESOL = Teaching English to Speakers of Other Languages(非母語話者への英語指導)」という用語もよく聞かれるようになりました。応用言語学の一部にも分類される、言語学の知見を教育活動へ生かすことを追求する分野です。私はこの分類の出身ということになるのですが、1〜3の中では一番新しい分野です。当時、退官間近の教授などからは「昔は英語教師は文学か文法(英語学)をやったものだった。教育というのはいなかったね(=「邪道だ」の意味)」などと嫌味を言われたものです。

もちろん、上の3つの学問領域を主専攻とせずとも、他学部にいながら、教員免許取得に必要な単位をそろえて免許取得!という離れ業も可能です。私の教員時代の同僚にも、大学では国際政策を学んで英語と社会のダブル免許、という強者がいました。授業を組み立てる時の発想も違っていましたね。「大人になったらPC上ではスペルチェックが使えるから、February なんていう綴りを覚える必要はない!」と言って周囲に反感以前の「?」をふりまいていました。なぜ February なのかは謎でしたが…